家庭内の死亡事故は高齢者が多く、約9割近くを占めています。
そのうち最も多いのがお風呂場での事故です。
令和3年の統計では高齢者の入浴中の死亡者数は4,750人で交通事故死亡者の約2倍となっています。
今回は高齢者ができるだけ安全にお風呂に入るためのポイントについて、管理人まきみやが祖母の入浴環境を整えた経験も交えてお伝えしたいと思います。
祖母は足腰がかなり弱ってきており、腕も上がりにくくなっています。今の所はなんとか一人でお風呂に入れはするのですが、強い不安がある状態です。今回、環境を整えることで我が家のお風呂を楽しめるようになりました。
転倒などの事故に備える
筋力やバランス感覚が低下しているお年寄りは、ちょっとしたことで転びやすくなっています。
浴室は滑りやすい環境です。その中で歩いたり、座ったり立ったりする動きが大事故につながる危険性があります。
ひとつひとつの動きを確実に、安心して行える工夫をして転倒やケガを防ぎましょう。
我が家ではリフォーム工事は行わず、自分で設置できるもので安全対策をしました。
1. 浴槽に手すりを付ける
浴槽につかるときに片足を上げる動きでバランスが大きく崩れてしまい、とても危険です。
しっかりつかんで体を支えることができる手すりを付けて対策します。
手すりを取り付けるには施工業者に依頼する方法もありますが、特にリフォーム工事が必要ない場合は後付けのものがおすすめです。我が家のユニットバスでも自分で取り付けられる後付けの手すりを採用しました。
後付けでは吸盤で取り付けるタイプや浴槽のへりにねじ止めするタイプがあります。
吸盤タイプは外れたときが怖いので、私は浴槽にねじ止めするタイプを取り付けました。
取り付け後はしっかり固定されているか、毎日自分でもつかまってみて確認するようにしています。
2. 段差の解消
段差があると転倒のリスクが高まります。
我が家では段差が無いため浴室出入口の対策はしませんでしたが、脱衣所から浴室へ出入りするときに段差が大きい場合は踏み台などで段差を小さく調節した方が安心です。
手すり付きの階段タイプや低い踏み台タイプなど段差解消用の踏み台が販売されています。
3. 浴槽内にステップを設置する
立ち上がりに困難がある場合、無理に立ち上がろうとするとケガにつながります。
足腰が弱く、立ち上がるのが大変であれば浴槽内にステップを設置することで対策ができます。
ステップに座って入浴できるので立ち上がるのも楽、上がるときは踏み台にも使えて一石二鳥のアイテムです。
祖母は床に座った状態から立ち上がるのが困難なため浴槽内にステップを入れることにしました。
しかし、お湯に浸かっていると浮力で立ち上がれるし、浴槽のへりに取り付けた手すりにつかまれば出入りもできるとのことで、結局ステップは使わなくなりました。
今後、脚力が衰えてきたらステップの出番があるかもしれません。
4. 浴槽の床に滑り止めマットを敷く
浴槽の床はツルツルしていて滑りがちです。
浴槽内に足を踏み入れた時や立ち上がろうとしたときに足を滑らせないよう滑り止めマットを敷くと安心感が増します。
立ち上がる時に踏ん張りも効くため浴槽から上がる時にも効果的です。
ゴム製の滑り止めマットは弾力があるのでお尻のクッションとなって入り心地も良いようです。
介護保険の認定を受けている場合は手すりや踏み台など、入浴を補助する福祉用具の購入に助成金が受けられる場合があります。お住まいの地域の福祉課などに相談してみて下さい。
ヒートショック対策
1. ヒートショックとは
ヒートショックは暖かい部屋から寒い部屋へ移動したり、熱いお湯に浸かることで血圧が急激に変動することで起こります。
温度差によって体がショックを受けた状態です。
高齢者の脆くなった血管はヒートショックによる急激な収縮や拡張に耐えられず、脳梗塞や心筋梗塞になってしまう危険性が高いのです。
2.ヒートショックの予防
ヒートショックは温度差によって起こるものなので入浴前に脱衣所や浴室を温めて温度差を小さくしておきましょう。
冷え込む夜より昼間に入浴することも温度差を小さくするために有効です。
お湯の温度は40℃以下にし、浸かる時間は長くても10分を越えないように注意します。
高齢者が一人で入浴している場合はときどき声をかけて安全確認をすると安心です。
- 脱衣所や浴室を温め、お湯は熱くしないようにして温度差を小さくする
- 日没前に入浴する
- お湯の温度は40℃以下に設定する
- 長湯は避け、10分以内にする
- 家族が声をかけて安全確認をする
我が家では脱衣所に小さなヒーターを設置して入浴前に暖かくするようにしています。浴室はシャワーでお湯張りをすることで温め、ヒートショックを予防しています。
熱中症対策
高齢者は体温調節機能が低下しているため入浴中に熱中症になるケースも多くなってしまいます。
厚生労働省の発表では、入浴中に熱中症になる人の約7割が65歳以上です。
熱中症にならないように以下のことに注意しましょう。
- 入浴前にしっかり水分補給する
- お湯の温度を40℃以下にする
- 入浴時間を10分以内にする
- 家族が声をかけて安全確認をする
ヒートショック対策と重なる部分が多いですが、お湯を熱くしすぎないこと、長湯しないこと、家族の声かけは熱中症の対策としても大切です。
まとめ
今回は高齢者の入浴について、安全に気を付けたいポイントをご紹介しました。
まとめると次の通りです。
- 転倒事故に気を付ける
- ヒートショックに気を付ける
- 熱中症に気を付ける
家族の見守りも安心ポイントですね。祖母には自分で入れるうちは無理をせずお風呂を楽しんでほしいと思います。
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